犬の登録頭数はどう移り変わったか 厚生労働省の公表資料を読む
日本で飼われている犬の数を知る手がかりの一つに、狂犬病予防法にもとづく犬の登録頭数があります。厚生労働省は、登録頭数と予防注射の頭数などを年ごとに並べた表を公開しています。ここでは、その表で数字の移り変わりを確かめ、登録の仕組みについても同じ省のQ&Aで確認します。数字は、表に書かれた年と年度のまま記します。
登録頭数は何を数えているか
狂犬病予防法による登録の仕組み
厚生労働省のQ&Aによると、生後91日以上の犬の飼い主は、犬を飼い始めてから30日以内に市町村へ登録して鑑札を受け取ります。あわせて狂犬病の予防注射を受けさせ、注射済票の交付を受けることになっています。交付された鑑札と注射済票は、犬に付けておくものとされています。鑑札と注射済票は、市町村の窓口で交付されると案内されています。
Q&Aが説明する登録と予防注射の理由
同じQ&Aは、日本では狂犬病の発生は見られないものの、万が一発生したときにすぐ対応するには、どこに何頭の飼い犬がいるかを日頃からつかんでおくことが重要だと説明しています。予防注射については、流行している国では犬が主なまん延源になっているため、飼い犬への注射で犬の間での広がりを防ぎ、人への被害を防ぐという考え方が示されています。注射は毎年1回で、期間は毎年4月から6月と案内されています。動物での国内の最後の発生は昭和32年(1957年)の猫で、人では昭和31年(1956年)が最後です。輸入感染の例としては、流行国で犬に咬まれて帰国したあとに発症した人が、昭和45年(1970年)に1例、平成18年(2006年)に2例、令和2年(2020年)に1例あったと記されています。Q&Aは、日本の近くの国々では狂犬病が広がっていて、国内に入ってくるおそれがまったくないわけではないとも書いています。登録頭数は、こうした手続きがとられた犬の数であり、飼われているすべての犬を数えたものとは限りません。なお、令和元年の動物愛護管理法の改正では、マイクロチップを付けた犬が環境大臣の登録を受けた場合について、狂犬病予防法の登録手続の特例が設けられました。このマイクロチップの装着などの規定は、令和4年6月1日に施行されています。
年次別の表で見る移り変わり
昭和35年から令和6年度までの登録頭数
表の最初の年である昭和35年の登録頭数は、1,905,080頭でした。昭和50年には3,197,228頭、昭和55年には3,178,970頭、平成元年には3,726,229頭と、数字は上下しながら増えていきます。表の注によると、平成9年度からは、暦の年ではなく年度ごとの集計に変わっています。その平成9年度は5,137,331頭、平成12年度は5,779,462頭で、表の中でいちばん多いのは平成21年度の6,880,844頭です。その後はゆるやかに減って、令和元年度は6,154,316頭、令和6年度は6,048,725頭となっています。平成22年度の数字には、東日本大震災の影響で、岩手県・宮城県・福島県の一部の市町村の分が入っていないと注にあります。環境省の統計資料にも同じ項目の表があり、昭和35年から令和5年度までの数字が載っています。
予防注射を受けた頭数との違い
予防注射の頭数は、令和6年度が4,281,702頭で、同じ年度の登録頭数6,048,725頭を下回っています。反対に昭和35年は、予防注射の頭数が3,075,417頭で、登録頭数より多くなっていました。平成元年は、登録頭数3,726,229頭に対して予防注射の頭数が3,697,397頭で、ほぼ同じ水準でした。平成29年度の予防注射の頭数は、茨城県から数字の修正が届いたので、別の統計である衛生行政報告例とは値が異なるという注も付いています。表の注には、昭和60年4月に、予防注射を受けさせる期間が半年から1年へと変わったため、その年の数字には変更前と変更後の制度の分が両方入っていると書かれています。制度や集計の仕方が途中で変わっているので、年をまたいで比べるときは、注もあわせて読むことが大切です。
抑留頭数の移り変わり
表には、抑留された犬の頭数と、そのうち返還された頭数も載っています。環境省の資料の注によると、返還頭数は抑留のあと元の飼い主に返された頭数で、差引頭数には第三者に譲渡された犬も含まれます。抑留頭数は、昭和35年が396,790頭、昭和45年が636,689頭でした。平成元年には297,454頭となり、令和6年度は11,792頭で、そのうち5,822頭が返還されています。登録頭数が増えていった時期と比べても、抑留頭数は大きく減ってきたことが表から読み取れます。
まとめ
厚生労働省の表によると、犬の登録頭数は昭和35年の1,905,080頭から増え、平成21年度の6,880,844頭がいちばん多く、令和6年度は6,048,725頭です。登録頭数は、狂犬病予防法の登録の手続きがとられた犬の数で、途中で集計が年度単位に変わったり、予防注射の制度が改められたりしています。数字の移り変わりを読むときは、表の注まで目を通すと、どこで数え方が変わったのかが分かります。犬を迎えたら、市町村での登録や鑑札の受け取りといった手続きも、あわせて確かめておきましょう。
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参考にした資料
各ページの内容は、2026年10月13日に確かめたものです。